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| 学校見学の旅 | 「日本と中国」/20061125号 | |
| (社)日中友好協会 編集部記者/内海達志 | ||
| 【杭州崇文実験小学校】 | ||
| 深刻な「いじめ」「自殺」の問題に直面している日本とは対照的に、中国の教育現場は極めて健全かつ正常な環境にある。今回、杭州市崇文実験学校を訪問し、小学生の純真無垢な笑顔に触れ、その思いを強くした。 4年前に前身の勝利小学校から生まれ変わった同校は、まだ中国では教少ない、少数精鋭を売りにする私立学校だ。日本では聞き慣れない「実験学校」とは、「モデル校」といったニュアンスか。1クラスの児童数は約30人で、通常クラスより10人以上も少ない。1学年8クラスあり、在校生は約1300人。ひとつのクラスを、2人の教師が担当する。 私学とはいえ管理機関は政府で、校舎も政府の投資によって建てられたのだが、学校運営に関しては独立採算制となっている。学費(入学金はなし)は年間4300元(I元=約15円)。 公立校と比較すると割高ではあるが、近年は「信頼、安心できる環境で学ばせたい」と希望する経済的に豊かな家庭が増えており、面接でふるいにかけるほどの応募があるという。 ただし、学校の理念は「学業成績のみならず、人間的にも優れた人材の育成」であり、純粋な営利目的ではないため、「親の収入が面接結果に反映されることはない」とのこと。 事務局の呂・副主任に案内され校舎に足を踏み入れると、小学校には不似合いな広々としたロビーに目を奪われる。「大部分の児童が1人っ子で、出迎えに来られる親御さんが多いことから、ウェイティンクルームとして使用しています」。 児童や保護者との交流機会を増やすため、ロビーを上がってすぐの場所に校長室が配置されているのも目新しい。 低学年クラスの英語り授業をのぞいてみる。厳粛な授業風景を想像していたのだが、意外にも和気あいあいとした雰囲気で、みな楽しみながら勉強しているとの印象を受けた。休み時間になると、男子も女子も手をつないで輪になり、ダンスに興じる。そのあ どけない表情を目にするうち、「裕福な家庭の子が集まるエリート校」との先入観は打ち砕かれた。「いじめの問題はありません」。呂さんの言葉を、うらやましい思いで聞く。 廊下で児童とすれ違うと、全員が片手を高々と上げ、「老師好!」(先生こんにちは)と元気よく挨拶してくれる。先生を敬う姿勢が徹底しており、さすがは「教師の日」がある国だと感心する。 社会が激変した今、画一的な教育制度は転換期を迎えつつある。 こうした差別化を打ち出した私学は、今後ますます需要が高まるものとみられている。 |
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| 【杭州老年大学】 | |
| 小学校が長い人生における学問のスタート地点であるならば、老年大学は最終到達点というべき場所。「老年大学」という言葉もまた日本では馴染みが薄いが、定年後の高齢者が集まり、さまざまな技能を学習するカルチャーセンター的な空間と考えればいい。多くの高齢者が、ここで「生きがい」を見つけ、第二の人生をエンジョイしている。 杭州老年大学は1985年の創設。開校当初は郊外の不便な場所にあったのだが、日本人篤志家の援助を受け、02年に現在の市中心部に移転した。書道、絵画、ダンス、パソコン、合唱、浙江省の伝統地方劇である越劇など32の専攻課程があり、さらに絵画なら山水画、花鳥画、書道なら楷書、草書というように、92の専門クラスに細分化されている。 入学条件は厳しくなく、定年退職者であればOK。政府の肝煎りで作られた学校であり、実験学校同様に営利目的ではないため、学費も半年間で60元と安い。老年大学に賛同する大学教授や医者などが、アルバイトで講師を務めている。学費を安く抑えられるのは、家賃負担がない市政府提供の校舎を使用し、講師陣がわずかな報酬で協力してくれているためという。 もちろん「留年」はないが、「卒業」の時期も特に決められてはいないので、自分のペースで学ぶことができ最高齢の学生は92歳。家族や友人同士で来ている人のほか、ここで新たな友人を作った人も多く、高齢者の交流窓口としての役割も大きい。 実際にいくつかのクラスにお邪魔する。合唱クラスでは素晴らしい歌声を、ダンスクラスでは華麗なステップを、越劇クラスでは朗々たる台詞回しを披露してくれた。パソコン教室で一心不乱にマウスと格闘する学生の表情は真剣だ。自身が撮影したデシカメの画像処理や、海外で暮らす家族とのメール交信を目標に学んでいる人が少なくないという。 また、書道クラスでは講師が見事な筆道いで「中日友好永世長存」と揮毫。歓迎の証しとしてツアー団長に贈呈され、書かれた文字の意味を噛みしめながら友好交流を深めた。 教室訪問のあと、卒業生の作品集を拝見したのだが、書道や絵画などの作品は、とてもアマチュアとは思えない。学校関係者によれば、「卒業後、その道で活躍している人も多く、海外の展示会に出品されることもあります」とのこと。朱子は「少年老い易く学成り難し」と説いているが、その気になれば何かを学ぶことに年齢は関係ないのだ、と脱帽する。 現在、全国に老年大学は2万校以上あり、300万人以上が学んでいる。老後の貴重な時間を持て余す人が多い日本にも、こんなシステムがあればと思う。老年大学で学ぶ学生の笑顔には、実験学校の小学生と変わらぬ輝きがあった。 |
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